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194話 仮初めの指輪

last update publish date: 2026-07-17 10:34:17

「あら、賀神さん。こちらにいらしたのね」

そう言われて振り返る。相も変わらず小奇麗な格好をし、遅刻して来たにも関わらず、申し訳無さそうな態度も言葉も出て来ない。私はそんな真壁早妃を一瞥して、システム部の状態を確認する。

「上書きは正常に?」

そう聞くと南野氏が頷く。

「はい、今のところ、異常はありません」

そう言いながら真壁早妃を見て不思議そうな顔をしている南野氏に、溜息をつき、私は言う。

「真壁くん、自己紹介を」

そう言うと真壁早妃が背筋を伸ばし、言う。

「EMSO本部、開発局・局長の真壁早妃です」

肩書は立派だが。この真壁早妃という女性は、普段から時間にルーズで私は嫌いだった。こんなルーズな人間と組んで再編をしなければならないのは苦痛だが、それでもこの提案を受けたのはひとえに佐伯燈と話してみたかったからだ。

「真壁くん、定刻を過ぎているようだが、何か申し開きは?」

そう聞くと真壁早妃は一瞬、顔を歪め、そして取り繕うように微笑み、言う。

「女性は時間がかかるものですよ、賀神さん」

私はそんな真壁早妃に言う。

「女性は、では無く、君は、だろう? 人との待ち合わせの時間に遅刻しておいて
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